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類塾
2023.08.09

ひきたよしあき氏×類塾 特別講座「ことばを学ぶ、未来が変わる」(前編)

目次

     

    「勇気をもらった」「元気になった」「大人になってもだいじなこと」と大好評だったコラムニストひきたよしあき氏による春の特別講座。その第2回目が、夏休みが始まったばかりの7月23日(日)に開催されました。春はおもに小学生が対象でしたが、今回は中学生向けの講座です。

    「何のために勉強をしているのかわからない」「やる気が出ない」「モチベーションがたもてない」、そんな声がちらほらと聞こえてくるこの年頃の類塾生とその親御さんに向けて、ひきた先生が贈った数々のアドバイスと励ましの言葉とは?

    今回は初のオンライン配信も実施。その様子も織りこみながら、講演のもようをレポートします。

    前回の講演「親も子も話すこと、書くこと、自分のことが好きになる!〜言葉のマグネットで自分の言葉の世界をひろげよう〜」はこちら。

    https://juku.rui.ne.jp/20230325ruijukutokbetsukouza/

    講演開始前、次々と集まってくる会場の参加者たち。オンラインでの参加者たちも集まってきました。先生も登壇し、いよいよ講義開始です。

    いつものように先生の「こんにちは!」のあいさつで講義はスタート。「こんにちは!」とあいさつを返す会場とオンラインの類塾生たち。

    「今日は2回目、とくに中学生の方が多いということで前よりちょっと難しいかもしれません。それでも大丈夫です。ついてきてください。今日は『言葉の力』というテーマで講義をします」。

    「ちょっと難しい」という先生の言葉に、少し緊張の面持ちの類塾生たち。

    先生の自己紹介のあと、「夏休みですね!」と書かれスライドが映し出されました。ひまわりの写真に、夏気分が上がります。

    「夏休みに入ったばかりで、少し心が浮かれているかもしれませんが、夏休みはあと何日残っているかな? というお話です。夏休みって長いように感じるけど、数えてみると35日くらい。実はすごく短いんです。だからまず初めに『実のある夏休みにするコツ』をお話ししようと思います」。

    まさに夏休みを迎えたばかりの類塾生たち。タイムリーな話題に興味津々です。

    先生は「時間を大切にするコツ」「達成感と自信をはぐくむコツ」「集中力や勉強する力へとつながる我慢力のコツ」の3つのコツを伝授。

    具体的で実用的な内容に教室が温まり、いよいよ講義の始まりです。

    自分を励ます言葉の力

    「さて、今日は大谷翔平くんがたくさん出てきます。なぜなら私は大谷翔平推しなんです」。「推し」という言葉にクスッと笑う声が聞こえ、みんなの緊張もほどけます。先生は毎日、大谷選手の活躍に勇気づけられているそうで、これから話す「言葉の力」についても大谷選手の言葉がとても良い教材になるそうです。

    先生はWBCの決勝戦で大谷選手が日本人選手みんなにかけた言葉を紹介し、分解、解説していきます。オンラインで受講しているチームからは「鳥肌やわ…」「すごい、しびれる」と感嘆が聞こえてきます。

    会場もオンラインも、みんな集中して聞き入り、メモ、メモ、メモ。

    この解説をもとに、もう一度大谷選手の言葉を振り返ります。その説得力に圧倒されたように聞き入る受講生たち。

    「さて」と先生。

    「これ、みんなにも応用できるよね。たとえば受験のときに周りに飲み込まれそうになったとき、この話法で自分を奮い立たせるんだ。今日は合格するために来たのだから、今日だけはビビるのをやめて合格を目指そう、テストに全力を尽くそうってね。試験だけではない。気持ちが晴れないときなどにも使ってほしい。自分を励ましてほしい。

    勉強の意義が見つからないときもそう。なぜ勉強をしなければいけないのかわからなくなったとき、一度この話法で自分を励ましてみよう。自分がいまどんな状況で何を感じているのか、勉強をすれば何を得られるのかを考えて、だから勉強しようと自分を叱咤激励してほしい」。

    自分の気持ちと照らし合わせているのでしょうか。みんな神妙な面持ちで聞き入っています。

    「さて、では、これをやってみよう。机の上にあるシートに、この夏休みどう過ごすかを自分に向かって書いてほしい。この話法で自分を励ましてほしい」。

    ワークショップの時間です。オンライン生たちはノートに書いていきます。

    会場内を歩き、机をのぞき込みながら、「~をやろう、または、~をやめようだけでもいい。考えることがだいじ」「お、いいねえ」と先生は類塾生たちに声をかけていきます。

    オンラインチームはZoomのチャットに続々と上がってくる回答に、❤️や👏、🎉がいっぱい。「いいねえ」「すごいなあ」と笑顔です。

    発表です。

    「宿題をやろう」「テレビを長い時間見るのをやめよう」「運動をしよう」「自分から動き出そう。まず行動していこう」。回答とひきた先生の講評が続きます。

    「モチベーションというのはこうやって生まれる。そしてこれ以上にモチベーションを上げる言い方を人類はまだ獲得していないんです。これは大人になっても使える。もし将来、いろんな障壁にぶつかったときにもこの話法で自分を励ますことができる。ぜひ憶えておいてください」。

    カツカツカツカツ…。鉛筆の音が響きます。

    小論文の書き方

    この話法は、文章力にもつながると先生は話を続けます。どういうことなのでしょう?

    中学生になると小論文を書くようになります。それは小学生のころに書いていた作文とは異なり、自分の意見とその根拠を示さなければいけません。これがきちんと書けるようになると、討論ができるようになり、心も強くなると先生はおっしゃいます。

    「小論文もこの話法で書けるようになります。小論文は何かの課題に対して自分の意見をまとめていく、つまり問題提起をし意思表示をするという流れがある。その意思表示をしたあとにこの話法が生きるんだね」と話すと、具体的にかみ砕いて説明してくださいました。

    みんなも必死についていきます。

    「ただ自分の意見を言うだけではダメ。小論文を評価する際、採点者はどのくらい広く考えたかというところを見ている。そういう意味でもこの話法をマスターしてほしい。これによって論文が出来上がっていく。論文が書けることによって、論破できる能力、相手に負けない力、説得力、度胸がつきます。日本人ははっきりと意見を言うことが苦手と言われています。だからまずは小論文を書くことから勉強しよう」。

    先生の話を聞くみんなの目は真剣そのもの。オンラインチームを担当している先生方からも「いいですねえ」とのつぶやきが聞こえます。

    「一つ例を挙げますね。『類塾で学ぶ必要はあるのか』という問題提起をする。『ある』と意思表示をしたあとに広い意見を考える。『たしかに進学塾も、授業をフォローしてくれる塾もたくさんある。別に類塾じゃなくてもいいんじゃないか』と。そして自分の意見を考える。『だけど勉強というのは成績や受験のためだけにするわけじゃない。そんなか細い勉強ではなく、この塾でやっているのは、考えるとか話すとか書くとか、そういう生きる力、度胸のようなものをつけるための勉強だ。そんな勉強ができるのは類塾しかない。こんなふうに言葉の力、生きる力を教えてくれるのは類塾だけ。成績を上げるだけならほかに行けばいい。学ぶことの楽しさ、世間を生きる度胸や喜び、そういう本源にたどり着くためには類塾で学ぶ必要がある』と、こうなります」。

    生きる力を強くするコツ

    小論文の書き方の次は、「生きる力を強くするコツ」です。今日は本当に盛りだくさんです。

    「生きる力を強くするコツは何か? まずは『過去は変えられる』ということを学んでほしい」。

    先生の言葉に「?」という顔の類塾生たち。オンラインチームも「え?」「ん?」という声と顔が画面に広がります。

    「だいじなのは、“いまが楽しいかどうか”です」と先生は話を続け、脳科学の話も織りまぜながら、どのように過去を変えることができるのか、過去が変わるとはどういうことかをていねいに紐解いていきます。

    Zoomのチャットには「過去は変えられないという言葉はよく聞くけど、確かに自分次第で変えられる。言葉の力ってすてきだね」という書き込みが。先生の伝えたいことが受け止められたようです。

    生きる力を強くするコツ2は、哲学者ニーチェの「永劫回帰」がキーワード。永劫回帰とは、ある瞬間とまったく同じ瞬間を次々に、永劫的に繰り返すという、ニーチェの代表的な思想です。先生は具体例を示しながら、いまこの瞬間をどう過ごすべきか自分に問うことの大切さを説きます。これぞ哲学、という深い話です。先生の話は続きます。

    生きる力を強くするコツ3は「あなたが社会に提供したいものは何か?」です。先生は友人のDr.コパさんから聞いた話をみんなに話し始めました。

    風水の第一人者で神主さんでもあるDr.コパさんは、神様は大学名なんて知らないのだから、○○大学に入れてくださいとお願いしてもダメ。そうではなく、もっと普遍的に、世の中にこう役立ちたいから私のお願いを聞いてください、と神様に話しかけるのがいいとおっしゃったそうです。

    その話を踏まえ、先生はこう続けました。

    「たとえば大学の医学部を志望したとする、だけど入れなかった。そんなとき『大学に落ちた。医者になれなかった。私の人生終わりだ』と落胆することはない。神様はそんなこと関係ないから。もっと普遍的に、医療を通じて世界に貢献すると考えるなら、神様はあなたを国連で働かせるかもしれない。わかるか? 道は一つではないということ」。

    「大切なのは、自分は何がしたいのか、社会に提供したいことはなにか、ということを常に考えていること。それにより、進むべき道、行くべき大学がおのずと見えてくる。偏差値の高さなんて関係ない。志望校を目指すのもいい、だけどそれよりももっとだいじなのは、自分のやりたいことを、目指すことを見つけて、その目標に向かって進むこと。そこに進んでさえいれば、志望校に落ちたってどうってことない。受験なんて失敗することもある。でもそこで人生が終わるわけじゃない。

    ゴールへたどり着くためにはいろんな道がある。自分のやりたいことに進むために、努力しベストを尽くす。これならできそうでしょ? 小さなつまずきでへこたれないで。へこたれたときはさっきの話法を思い出して自分を励ましてほしい。そしていまがベストだと思い、つらい過去を書き換えることで生きる力は強くなる。

    それから親御さんも、『ここに入らないと失敗だ』というような自分の価値観を子どもに押しつけることは絶対にやめてほしい。人生はそんなもんじゃない」。

    そう話して前半の授業は終わりました。

    熱くて濃い一時間でした。

    後編はこちら

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